「年齢」も、肩書きの一つだと思う――学生起業家・仁禮 彩香さんが語る、同世代に伝えたいメッセージ【Youth Speak Forum 2018 登壇者インタビュー】

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アイセック・ジャパンは様々な領域を越えて活躍している社会人・学生の登壇イベント 「Youth Speak Forum 2018」を10月9日(火)に開催します。コンセプトは、「『』(カタガキ)を超えろ」。若者が、自分とその未来を探し始めるきっかけとなる機会を提供します。

今回は、登壇者の一人である仁禮 彩香(にれい あやか)さんにインタビューをさせていただきました。14歳にして「子どもによる子どものための未来創造企業」である株式会社GLOPATHを設立し、中学生CEOとして脚光を浴びた仁禮さん。現在は慶應義塾大学に在籍する一方で、新たに立ち上げた株式会社Hand-Cにて、企業の人材育成プログラムや学校向けのプログラムの開発、イベント企画などを行っています。

そんな仁禮さんが語る、「学生」というカタガキを超えた先の未来とは。仁禮さんの今までのストーリーに触れながら、仁禮さんを突き動かす原動力や、これからの日本の未来を担う若者へ伝えたいメッセージを伺いました。

【仁禮 彩香(にれい あやか)さん プロフィール】

​株式会社Hand-C 代表取締役社長。慶應義塾大学在学中。中学2年生の時に株式会社GLOPATHを設立、最高経営責任者に就任。インターナショナルスクールの経営や教育関連事業、CSR関連事業などを展開。TEDxKids@chiyoda、ASEAN+ Young Leaders Summitなど講演多数。2016年に株式会社Hand-Cを設立し、代表取締役に就任。同年 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビューが選ぶ未来を作るU-40経営者20人に選出。

「年齢」も、肩書きの一つだと思う。

――Hand Cでは具体的にどの様な事をされていますか?

「小学生から高校生向けに、あらゆる分野の最前線で活躍する大人をメンターに迎えた、自らの人生を切り開く力を育むスクール人とともにを展開しています。学校の中って、子どもたちは先生や保護者といった限られた大人にしか会えないじゃないですか。でも、社会にはいろんな人達がいて、学校の中では触れることのできない世界が広がっていますよね。

年齢っていうのも、それこそ肩書きの一つではあると思っているんです。小学生でも中学生でも高校生でも、そういうものを取っ払って、共に学ぶ環境の中で、「学校」という社会から孤立した環境にいる子供たちを社会とコネクトすることには大きな意味がある。その思いで社会接続型の授業をつくり始めました。

あとは、学校の授業のデザインや企業研修も手がけています。学校を企業さんとマッチングや、キャリア教育のプログラムやリーダシップ研修の制作などを行なっています。、

――そうなんですね・・・!以前、仁禮さんは14歳の時にGLOPATH(グローパス)という会社を起業されましたよね。GLOPATHとHand Cの違いは、どのようなところにあるのですか?

両者のポリシーは大きく変わっていません。でも、実はもともとHand Cを創る予定はありませんでした。グローパスをやった後に、一旦自分としては、自分がこれから何をしていくのかっていうところで、もっと「学ぶ」というフェースに自分を持って行きたかったんです。ですが、いろんな事情で会社を設立せざるを得ない状態になってしまって(笑)。

――そうなんですね(笑)。

でも、そんな状況があったからこそ、「誰がどのように、自分が作る組織に関わるのか」を徹底的に考え直すきっかけになりました。だから、その点でGLOPATHとHand Cの一番の違いは、働く人と働き方を設計し直していることですね。ね。例えば、私が中学の頃はまだ社会について知らなくて、どういう人達がメンバーにいて、どういう風に組織を作ったら良いのかなどの知識が無く分かりませんでした。その中で周りの友人と作ったのがGLOPATHです。でも今回は、その経験を踏まえて、もう一度新しく作るとなった時に、どういう人を自分のチームに入れていけば良いのかをゼロで考え直して組織作りをする事ができていると思っていて。

具体的にHand Cとして今は、社員ではなく副業で関わる人達を増やしているんです。

――なるほど。

みんな何かのプロフェッショナルで、所属企業で安定的な仕事をもらっていて、仕事も平和にやっているんだけど、本当はもっとやりたい事ある、というような人は少なからずいらっしゃいます。そんな方たち向けに「じゃあうち(Hand C)で、副業で、自分の生きがいとしてやる」という働き方を提案しています。だから、「作り出すコンテンツ」もそうですが、その「組織自体」が社会でどういう立ち位置になっているのかを自分が意識していることが一番重要だと思っています。

――それは凄く面白い・・・!。チームとしても、元々GLOPATHは仁禮さんの周りにいる人達だったのが、Hand Cではその理念に共感してくれていて、Hand-Cで活用できる何らかのプロフェッショナル性を持った人がチームになっていった、という事ですよね。

そうですね。

確かにそれは凄く大きな違いですね。

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脱「聖域」。教育も経済の活性化につながることを証明したい

――その様な社会貢献的な事業をするにあたって、NPOではなく「企業」という形態を選ばれたのですか?

株式会社とNPOの大きな違いの一つは、利益を追求しないといけないということです。でも教育って「聖域」というか、お金が発生してはいけないという感覚が根強くありますよね。

でも、質の高いプログラムを作れば、手間も時間もかかって、当然お金もかかるんです。無償ではなく正当な対価を求めても、良質なプログラムを幅広く展開出来ることを証明したい。そういう意味で、ボランティアとか善意的な組織ではなくあえて株式会社とする事で、教育という事にも労働の対価だとか、人が関わって経済の活性化に成り得るという所を見せていけたらと思っています。

――そうなんですね。ソーシャルグッドな思いもありつつ、その中でビジネスという文脈がないと長続きしないというのもありますよね。

そうですね。やっぱり、人が一緒に働いてくれるとなった時に、そこに経済的観念は必要だし、継続するという事が本当の意味での問題解決に繋がると思うので。

両立しているからこそ、フレッシュなアイデアが得られる

――仁禮さんは今は21歳で(2018年9月現在)、14歳でCEOになられたとのことなので、もう人生の3分の1がCEOということになりますが・・・、

そう考えるとすごいですね笑

――なかなかのパワーワードですよね笑。でもそうなると、勉学と仕事の両立は大変ではないのですか?

いえ、逆に自分はずっとそういう風にやってきたので、そんなに辛いとは思っていなくて。むしろ、事業に専念しているいまの方が(現在、慶應義塾大学を休学中)、不自然に感じるんです。

――ええ〜!そうなんですね。それは意外でした笑

片っぽだけだと、「あれ〜?」っていう感じになってしまうんです(笑)。むしろインプットがあった方が良いと思うし。私が中学・高校時代のインプットというのは、学校の授業からインプットしているのではなくて、「学校」という「課題に溢れた環境」から「課題」をインプットしていたと思っていて。学校でフレッシュにいろんなネタが生まれた。「これちょっとやばい」とか、「こういう悩みを友達が持っている」というのを事業に生かせたんですよね。そいうインプットとアウトプットの両立が出来ていて、凄く機能していたと思うので。だからまた学校に戻れる方が嬉しいという感じです。

――昔から両立している人ならではの悩みですね。

そうですね(笑)。

――そんな長きに渡るCEO生活の中で、もっとも感動したことは何でしたか?

感動したこと…。多分、私が自分の弱みみたいなものをちゃんと社会に話して、それを社会の人達が認めてくれた時かなと思います。私は元々、社会の仕組みを知りたくて、その手段として会社を創ろうと思って中学二年生の時に実行に移しました。会社を成長させるというより、自分と、私の同世代の人たちが学べる環境として創った、という感じです。だから、自分の中ではすごい事やっているとは全然思っていなくて笑。

でも、当時は今よりも起業する学生も少なく、評価がひとり歩きしていて、「そんなに凄い事してないんだけどな」と思っているからこそ、自分の中では「なんだろう」というのがあって。自己評価より他者からの評価が高いと、変に自分がお願いしたい事が言えなかったりとか、助けを求められなかったり、自分で自分を追い込むところがあったんです。

でも、最終的に自分のやりたい事として、人が自分の人生を自由に生きるための支援をずっとしていきたいという部分だけは変わりませんでした。自分の弱みも含めてさらけ出して語った上でも、「仁禮ちゃんを応援したい」と言ってくれる人達が沢山いてくれたっていうことが、自分の中でとてもほっとしたというか、嬉しかったです。

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「学校って、ずっと同じ場所にある必要ある?」

――Hand Cを長期的に見ていく時に、仁禮さんはどういう風になっていきたいですか?

教育という事業を考えた時に、時間や空間の概念が徐々に自由になっています。たとえば「学校って、ずっと同じ場所にある必要ある?」ということです。ミネルバ大学みたいな教育機関もありますよね(※)。それってもっと下の世代にも出来ると思っていて。既存の学校に毎日通う概念を取っ払って、いつどこで誰とどのように学ぶのか。Hand Cとしてはもっと多様なスタイルを生み出し選択肢を増やしていきたいと思います。※ミネルバ大学:キャンパスを持たず、4年間で7都市を移動しながら学ぶという全寮制の大学。講義はすべてオンラインで行われ、ディスカッション中心の授業や、企業などと協働して進めるプロジェクトを通じて課題解決の手法を学ぶという、従来的な価値観からすると大変ユニークなカリキュラムをとっていることで有名。

個人としては、具体的な道筋はあえて描いていなくて。自分のバリューを高めて、あとは時の流れに任せます。Hand Cの軸をしっかり持たせていくというのはあるんですけど、働き方も色々あるじゃないですか。私にとって一番大切なのは、人間の成長するプロセスに貢献し続けるということなので、その時々で、自分が一番インパクトをだせる組織やチームを選んでいけばいいと思います。例えば、Hand-Cを続けながら異なる組織にも所属するとか、チームが一つである必要ももちろんない。ポートフォリオワーカーみたいな形が私には凄く合っていると思います。

――そうなんですね。確かに、仁禮さんは一つの組織にいれば多分めちゃくちゃ窮屈だと感じます。

そうですね(笑)

仁禮さんの原点の一つ、Thinking Chair

――元々GLOPATHを始められたきっかけが小学校で画一的な事を教えることに対する違和感だったと思うんですけど、その違和感は誰しも感じる事だと思うんです。でも、それをどうして「自分(仁禮さん)」が変えようと思ったのですか?誰かが解決することを待つ事も一つの選択肢としてあるわけですが。

う〜ん。その選択肢が無かっただけかも(笑)。

それは多分、自分が幼稚園の時から「課題があったら解決する」ことが凄く自然に行われていたからだと思います。幼稚園で例えば、友達と砂場で使いたいシャベルが同じで、でも緑は一つしかなくて揉めるみたいな事があったとするじゃないですか。そうしたら、それを日本の文化だと、「じゃんけんできめなさい!」だとか大人が来たりして、もしそこで一方的にどちらかが叩いたりしたら「その子が100%悪い」みたいな決めつけもあると思うんです。

でも、私が行っていた所は、もしそうなったら「今どういう問題が起きているの?」と問題の事実をまず整理する質問が来て、「じゃあそれどうやって解決するの?」と聞かれる過程があって。子供達が自分たちで解決するんですね。それで、問題解決するためのThinking Chairっていうのがあって。ただの椅子なんですけど(笑)。そのThinking Chairに座って自分たちの問題解決方法を考えて、その問題が解決されるまで授業や遊びに戻れないんですよ。だから、問題が起きていたら解決するっていうのがもう習慣化されていたんですよね。だから、自分が課題とかを見つけたら、どうしたら良いかって考えて動く。もはや習慣みたいになっていたんだなって思います。

――そうなんですね!Thinking Chairって面白いですね。

ですよね!私もそれ好きで。Thinking Chair凄く思い出がいっぱいある(笑)。例えばそのThinking Chairにも色々あって、2個隣同士に置いてあるThinking Chairは、もう話し合いができるくらい2人ともそんなに感情的じゃなくて、「私も使いたいのに〜」くらいの揉め事だったら、2人向き合って「どうする?」って話し合う。でも片っぽが泣いていて、片っぽが怒っているような場面では、もう感情論になっているんで、その時話しても解決しないじゃないですか。そんな時は凄く遠い所にThinking Chairが2つあるっていうパターンもあって、そっちを選ぶんですよ。

そこで、1人になって、「私はこういうのが嫌だった」とか「こういう所に傷付いた」とか、「でも彼女はこういう所が嫌だったのかな」っていうのを一人で考える。という時間を作らせるような設計になっていて。で、感情が落ち着いたら、「落ち着いた」という風にしてマットに座ってもう一人来るまで待ってる…っていう。そういう様な、物で整理したりとか、話し合ったりとかが上手く教室の中で設計されていて。それを子供達も使いこなしていたんですよね。そういうのがすごい記憶に残っているから、環境作りって凄く大事だなと思っていて。

――凄いですね…。でも確かにそういう環境に育てば、課題を解決するのが当たり前になっていきますよね。

そうですね。

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自分の人生は、自分でしか決められない

――でも世間を見渡してみると、やっぱりなかなかそういうマインドセットを持った人が全員ではないと思います。今回のイベントの趣旨で、若者や同世代に何か伝えたい事、という文脈なんですけど、何か今の同世代に「こういう事を持ってもらいたいな」とか、「こういうマインドセットを持ってもらいたいな」等はありますか?

あ〜…。多分、自分の人生は自分しか決められないという事かな。例えば、社会課題解決って、それは素晴らしい事だとは思うんですけど、みんな社会課題解決しなきゃいけないかって言ったら、そんなことなくて。したい人がすれば良いと思う。結局は「自分は何がしたいのか」とか「自分はどうやって生きようか」っていう事は本人しか決められないので。グローバル人材とかリーダーシップとか「私はそういうのはどうでも良いと思っていて。「自分の生きたい人生を生きてくれ」みたいな(笑)。だけですかね、言いたいのは。

―― 今回「肩書きを越えて」という事で、仁禮さんには「学生を越えて」という事をお伺いしたいと思って今回のイベントがあると思うんですけど、「学生を越えて」今まで仁禮さんがやってこれた秘訣や心がけて来た事ってありますか?

ああ〜、心がけてきた事…。そうですね、一番は「周りのおかげ」っていう事を自覚しておくという事です。例えば、私が代表をやっていれば、インタビューされるのは勿論代表だし、表に出るのは代表だし、評価の対象になりやすいのですが、私なんて常にしっちゃかめっちゃかな人間ですよ、いきなり「学校作る」だの何だの(笑)。でもそれを「面白いね」とか「やってみよう」っていう人がいつもいたからできてる。自分は周りがそういう風に、私の暴走をうまく軌道に乗せてくれたりだとか、サポートしてくれたりだとか、そういうのがあるから今も色んな事が出来ていると思っているので。そこを忘れると感謝がなくなり、人も離れていくと思うので。そこかな、と思います。

―― ありがとうございました。本日は長時間、ほんとうにお疲れ様でした。

こちらこそ、ありがとうございました。

Youth Speak Forumについて

いかがでしたか。そんな脇さんが登壇するYouth Speak Forumは今回「カタガキ」を越えて活躍する社会人をお呼びしています。この機会で新たな「自分」を見つけてみませんか? イベントURLはこちらから!

聞き手:呉本謙勝

執筆・編集:関谷尚子

 

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