そもそも、イスラエル・パレスチナ問題とは【長期連載〜パレスチナの今〜第3回】

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こんにちは。いまパレスチナに身を置いている女子大生の、オカワリです。

この長期連載では、私がパレスチナへ行った理由や、パレスチナでの生活について書いてきました。

この回では、そもそも、イスラエル・パレスチナ問題とは何か、現在この地では何が起きているのかを説明します。

そもそも、問題の原因は?

簡単に説明すると、イスラエルに住んでいるのは主にユダヤ教徒であるユダヤ人。一方でパレスチナには、イスラム教徒もしくはキリスト教徒のアラブ人が多く住んでいます。国際法上はパレスチナはイスラエルという「国家」の中の一地域ですが、実際はイスラエルにより設置された分離壁やフェンスによって、
完全に違う国のように分かれてしまっています。

イスラエルが建国されたのは、今から70年前の1948年。国連決議の採択によってユダヤ人たちに分割された土地をめぐり、第一次中東戦争が起こった最中でした。
この国連決議は、もともとパレスチナの人々が暮らしていた場所において、当時人口の3割ほどを占めるユダヤ人に土地の半分以上を分割するものでした。       第二次世界大戦後に明るみになったホロコーストの衝撃とユダヤ人への同情もあり、主に欧米諸国を中心とした国連加盟国が分割採択を行ったのです。
この決議に対し、もちろんアラブ諸国は猛反対をしましたが、多数決で採択されてしまいました。その後に起こった第一次中東戦争では、決議で割り当てられた以上の土地を、イスラエル側が制圧します。戦争の混乱や虐殺事件の中でパレスチナ人たちは故郷を失い、そこから彼らの長きに渡る悲しみの歴史が始まったのです。

ある日突然、「ここはあなたの土地ではない」と言われたら・・・

私たち日本人にとってアラブ人は、「危ない思想を持っている」「争いが多く危険な土地に住んでいる」というイメージを抱いてしまうかもしれません。しかしそれは、ニュースなどで爆撃や粉塵の中にいるアラブ人をよく目にするからではないでしょうか。
(アラブ人が多い)パレスチナについてよく考えてみると、今、パレスチナがこのような厳しい状況に置かれているきっかけは、パレスチナ人のせいではないのです。
突然、国際社会という大きな力によって故郷を追われてしまったパレスチナ人たち。もしあなたが、ある日突然「この場所は国連決議で我々のものだと決まったから出て行け」と言われ、家から追い出されたらどうしますか。
「あ、そうなんですね。すぐに荷物をまとめます!」なんていう人はいないのではないでしょうか。だって家から追い出されたら、他に住むところなんてないのですから。
多くの人々が、「いや、何が国連の決議だよ、ここは何年も前から自分たちが住んでいたんだ、ここは自分たちの家だ」というでしょう。そして、反発するはずです。だから、パレスチナの人々は爆撃と粉塵の中で戦っているのです。

彼らは決して「危ない人たち」ではない

パレスチナにおいて、特にガザ地区などは人々がテロ活動をはたらいている、というイメージがあると思いますが、それは少し違います。そのイメージは、イスラムの教義を曲解する過激派のISIS(イスラム国)やタリバンなどの団体と、「危険」というくくりで一緒くたになってしまっているせいだと思います。
パレスチナの問題は、それらとは全く異なります。パレスチナの人々は、突然住んでいた家や土地を追い出され、多くの人々が国内外に移住せざるをえなくなりました。
「すぐに家に帰ってくるから」と家の鍵を持って避難し、しかし結局何十年もの間、難民になってしまった人が多くいます。
おそらく彼らの家は取り壊されているか、もう国内外から来たユダヤ人が住んでしまっているのです。そうして70年が経ち、今になりました。
パレスチナ難民と呼ばれる人々は、こうして突如として家を追い出された彼らパレスチナ人のことです。

その後も、アラブ諸国は土地を奪還するために、いわゆる中東戦争と呼ばれる戦争を重ねました。合計4度に渡る戦争の末、アラブ側は、アメリカ・イギリスに支援されているイスラエルに負けてしまい、最終的にパレスチナの土地はどんどんイスラエルに奪われていきました。パレスチナの人々は、イスラエルはこれらの戦争の結果、そして軍事占領による既成事実で成り立った国であると感じています。

検問所に見る、パレスチナとイスラエルの今

その後パレスチナ自治政府が成立したものの、実際にはイスラエルがパレスチナを占領下に置き続けている今、イスラエルにより建てられた分離壁やフェンスによって、パレスチナとイスラエルは完全に違う国のように分かれてしまっています。
パレスチナからイスラエルに入国するときには、イスラエル兵士のいる検問所を通らなければいけません。銃を携えた兵士にIDカード、外国人の場合はパスポートを見せ、X線で荷物をチェックされます。

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(検問所入り口の看板)

なお、検問所のチェックはパレスチナからイスラエルに入る時だけで、逆にイスラエルからパレスチナ側に入る際にはなんの検査もありません。
仕事・学校・病院・・・どこに行く時にも検問所を通らなければいけないパレスチナ人。
イスラエル側へ出るための検問所では、人々が動物園の檻のような鉄製の狭い仕切りの中に並び、自分の荷物をX線検査に通し、自分自身も金属探知検査のゲートをくぐる形になっています。
朝の通勤ラッシュはこの検問所を通るためだけに1時間以上かかることも珍しくありません。
言うまでもなく、吐き出す場所のない不満が、パレスチナ人全体を包みます。仕事やお祈り、病院に行くために、どうして1時間も検問所で待たされる必要があるのか。
数十メートル先に、行き慣れた街があるのに。
本来なら自分たちの土地だったはずの場所です。image2 - そもそも、イスラエル・パレスチナ問題とは【長期連載〜パレスチナの今〜第3回】

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イスラエルとパレスチナを隔てる分離壁。上部分には鉄条網のある壁も多い。

「カバンを開けろ!」突然響く怒鳴り声

最近、朝にこんなことがありました。
検問所で大荷物を持ったパレスチナ人のお兄さんたちがいました。彼らは20分くらい、検問所のX線ゲートをくぐったり、戻らされたりを繰り返していました。
ようやくX線の検査を終え、やっとイスラエル側に出れると思った矢先、
「カバンを開けて荷物を全部出せ」
雑音混じりのスピーカーから、ヘブライ語が鳴り響きました。
ゲートは一人ずつしかくぐれません。彼らが進めなければ、後に続く私たちも進めません。
不親切なヘブライ語での「カバンを開けろ!」という怒鳴り声をパレスチナ人の誰かがアラビア語に通訳し、それを聞いたその場にいるパレスチナ人が「おいおい、まだやるのかよ」というようなため息をつきました。
どれだけ待たされるんだ、俺たちは、といった表情でした。
パレスチナ人の青年2人は人前でカバンの中身を全部出して、身の潔白を証明しました。中身は服だけでした。
カバンを底の底まで確認し、服しか入っていないことを見た後、「だめだ、パレスチナに戻れ」とイスラエル兵は言いました。
結局彼らは検問所を通ることができませんでした。
彼らをパレスチナ側に戻らせたことは、私には意味のある行為とは思えませんでした。X線に何度も通したカバンを開けさせ、服だけであることを確認した挙句、検問所を通さない。彼らだけのやり取りで30分以上はかかったように思います。
ガラス張りの事務室のような場所に座り、時には寝ているイスラエル兵が、私たち検問所を通ろうとする人々を監視しています。時には露骨な意地悪もするとパレスチナの人々は言います。実際に私自身、ゲートをくぐろうとしただけでイスラエル兵士に怒鳴られたこともあり、セキュリティを理由にしながらも、本当のところは嫌がらせなのではないかと感じました。
怒鳴りつけたり、わざと少しずつしか検問所を通さずものすごく時間をかけさせたり。学校に行くために検問所を通らなければならないパレスチナ人の子どもにも同じような嫌がらせを繰り返し、子どもが学校に行きたくなくなってしまうこともあるそうです。

パレスチナという土地を占領し、イスラエルとパレスチナを分ける高い壁を建て、そこにさらに一方的な検問所を作る。
イスラエルの建国は、国連で決まったことだから、という人がいます。
でも、当事者である一方の人々の感情を抜きにして、「大多数がそう望んでいるから」と多数決を取ることは、果たして正しいのでしょうか。

ここにいると、様々なことを感じてしまいます。

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