「おじさまおばさま達の文化祭」 vs 「若者達のフェスティバル」
日本の政治集会、アメリカとフランスと比較してみた!

3月某日、一通の封筒が届きました。

差出人は何と…
安倍首相!!
思いっきり印刷ですが、機械的に送られた封筒とは思えないオーラが、達筆な署名からバシバシ感じます。

恐る恐る開けて見ると、中から出てきたのは自民党大会の案内状とチケット。

激レアチケットとは思えないテキトーな感じが否めないですが、紛れもなくモノホンです。

過去にアメリカ・フランスの大統領選挙に参加し、欧米の「イケてる」政治集会に感動してきた筆者達。
日本でも有数のビックな政治集会に潜入できるとのことで、バイブスが上がります。

私たちは、案内状を熟読して思いました。

「割に演出が凝ってると聞いたけど、米仏に比べてどんな感じ?」
「てか、まず自民党大会ってどんなイベントやろ?」
「高級ホテルのランチビュッフェを食べられるらしい」

ということで、自民党大会に潜入してきました!
本記事では、「第85回 自由民主党大会」での出来事をアメリカ・フランス大統領選での政治集会と比較してご紹介。
日本最大級の政治フェスティバルで見つけた意外な発見や魅力。これらを「祭メモ」としてまとめました。「政治とかキョーミない」「政治のイベントとか意識高そうで苦手」「眠い」という方も、政党の集会というものを少しでも身近に感じてもらえれば嬉しいです。

アメリカの政治集会の記事はこちら:
https://withnews.jp/article/f0161230003qq000000000000000W03j10101qq000014501A
フランスの政治集会の記事はこちら:
https://poteto.media/tag/france-election/

 

会場到着!偉いおじさまおばさま達が全国から集結

会場は品川の大規模宴会ホール。党員や議員、招待者、政府関係者など、来場者によって受付が分かれています。受付が済むと、紙袋に入ったお土産グッズがもらえました。

セキュリティチェック(かなりユルい雰囲気が…)を済ませ、ついに会場となる大ホールへ。総理経験者も含めた国会議員から地方の自民党議員・サポーターまで大人数が集結することもあり、会場は人でごった返していました。

そんな会場でまず目につくのは、会場となる「崑崙の間」のとてつもない大きさ。2,397㎡(テニスコート約9面分)もの広さを誇る会場は3000人近く収容できるようで、前方には巨大なスクリーンが3つもありました。

壇上にはテレビで見たあの政治家たちの姿。

もちろん後ろには、報道陣のカメラがズラリ。誰もが知るメディアの腕章をつけた人たちがキビキビと動いている姿を目の当たりにして、この自民党大会は何やらスゴいイベントなんだという実感が湧いてきました。

ちなみに、お土産の中身はこんな感じでした。
・第85回 自由民主党大会公式冊子
・国に届け(若者向け党広報冊子)
・りぶる 4月号(自民党広報誌)
・自由民主(自民党機関紙)
・安倍首相つきマグネットシート
・紙袋(頑丈)

要するに、だいたいが広報雑誌です。事務的な配布物感が満載なプレセントでしたが、面白いもを発見。

 

安倍首相付き!書いて消せる マグネットシート

 

LINEスタンプでめちゃくちゃバズった安倍さんのイラストをあしらったマグネットシート。水性ペンを使えば何度でも利用できるそうです。

 

大喜利をしてくれと言わんばかりのデザインと機能性。マグネット付き水性ペンを購入しないと使えないのが難点ですが、なかなかクセが強くて筆者は気に入りました。

しかし、この時期の「書いては消せる、首相の言葉」というパンチが効いた小ネタに、筆者は少々…(^^;)

 

ちなみに、アメリカ大統領トランプ氏の集会ではトランプ氏の名前をあしらったシールや缶バッジ。フランス大統領マクロン氏の集会ではシールや「マクロンTシャツ」が配られていました。シールや缶バッジといった類のものではなく、冷蔵庫に貼れそうなマグネットを配布するのは、自民党大会は参加者が基本的には全国の党員や議員…つまり、おじさまやおばさまが多いためかもしれません。

 

祭メモ1:お土産は、Macbookに貼れそうなシール…ではなく、冷蔵庫に貼れそうなマグネット

 

イケてる、迫力満点のオープニングムービー

党大会が始まって早速圧倒されたのは、このオープニングムービーでした。
とにかく、思っていた以上にカッコいい。

政治のイベントなんて偉いおじさまおばさま達が原稿を読み倒しながら終わるカタ〜いイベントのイメージだったのですが、早速その固定観念が崩されました。やはりいい映像は人の心を掴んでいくのだと痛感します。

※こちらの動画の1分30秒あたりからオープニングムービー(音声付き)がご覧いただけます
https://www.youtube.com/watch?v=Ymiza-aFnHw

 

ちなみに映像に関して。フランスでは大統領候補だったマクロン氏・ルペン氏ともに集会前にカッコいいムービーが放映されていました。これらの動画と、自民党の動画の共通点は「わかりやすくカッコよく」してあること。文字の出し方やエフェクトは、少し大げさに強調してあり「これぞカッコいい!」のお手本のような仕様になっています。音や光の演出も駆使して、でかく、はっきり、わかりやすく。マス受けするものは、AKB 48もそうと言われていますが、少し「ださく」することが大切だという説があります。尖りすぎた、もはや常人には理解しがたいアートさよりも、誰にでもわかるシンプルに良さを強調したつくりに。ここでもなっていたのかもしれません。

祭メモ2:演出は全体的に「わかりやすいカッコよさ」

 

サプライズゲストは、スピードスケートの高木美帆選手!

イケてるオープニングムービーで会場全体のバイブスが上がっている中、サプライズで登場したのは、なんとスピードスケート女子の高木美帆選手!平昌冬季五輪で金、銀、銅メダルをそろえ、日本勢個人最多の3メダルを獲得したスター選手に、会場全体が湧き上がりました。

これには自民党の偉い先生方もご満悦の様子。

高木選手は平昌五輪を振り返って感謝の言葉を述べ、日本スケート連盟会長を務める橋本聖子自民党参院議員会長のインタビューに答えながら、10分ほど話してくれました。

アメリカ大統領選挙では、例えばボン・ジョビ氏が。フランス大統領選挙では有名なEDM歌手達が前座を務め、会場を盛り上げていました。さながらクラブイベントかと思う雰囲気の中、参加者達が国旗などを振りながら踊りまくっていたのが印象的です。アメリカもフランスも、当然おじさまやおばさまもたくさん集会に参加しているのですが、彼らは盛り上がっている若者に混じり、歌ったり体を動かしたりしていました。

※フランス大統領選挙のルペン氏の集会の様子はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=3waT_LByu2s

それに比べると、とてもゆったりと楽しめた印象があるのが自民党大会。

トークセッションを座って聞くため、ある種落ち着いた雰囲気に包まれていました。

祭メモ3:余興は騒がず、ゆったりと楽しみます。

 

本日のメインディッシュ、安倍晋三総裁の演説

この後、幹事長による「党状報告」や来賓からのスピーチを挟んでいよいよ安倍総裁の演説。
司会の合図で、まずは演説オープニングムービーからスタート。このムービーもさっきのものと同様にめちゃくちゃかっこいい仕上がりで、会場の雰囲気を温めるのに一役も二役も買っていました。やはり、動画の威力は偉大です。

安倍総裁の功績を軸に、カッコよくまとめてあった動画。
ラストは安倍総裁の登場を「3」「2」「1」…とカウントダウンする仕様になっていました。
もしかすると、動画制作者はここで映像に合わせて「3」「2」「1」と会場からカウントダウンの掛け声がかぶさることを期待したのかもしれません。しかし、財務省の決裁文書書き換え問題で自民党内が揺れる中、会場からカウントダウンの掛け声が上がることはありませんでした。

そして、驚いたのが、縦型の動画もしっかり完備されていたことです。
インスタグラムの「ストーリー」を始め、縦動画を目にすることが多くなって来ましたが会場の縦型スクリーンには、そのままストーリーに流せそうな動画も。
時代の流れを汲んだネット戦略に定評がある自民党。こういったところからしっかりと縦型動画を入れて来るあたり、流石です。

さて、その演説ですが、冒頭は財務省の決裁文書書き換え問題への謝罪から始まりました。
「国民の行政に対する信頼を揺るがす事態となった。行政の長として責任を痛感している。行政全般の最終的責任は首相である私にある。深くおわび申し上げる」と、安倍総裁。その上で「二度と起こらないように組織を根本から立て直す。その責任を必ず果たしていく」と述べ、頭を深々と下げた瞬間に後ろの報道陣からシャッター音の嵐が聞こえてきました。

その後の演説で安倍総裁は、経済・外交・働き方改革・地方創生など、いま安倍政権が進めている政策についての話を具体例やユーモアを交えて話し、所々会場が笑いに包まれる場面もありました。とにかく表現豊かに、身振り手振りを交えて話す安倍総裁。とても情熱的なスピーチをされる方でした。

しかし、党大会での演説として最も注目され、そして安倍総裁自身が意識的に盛り込んだと思われるトピックは「憲法改正」についてです。

安倍総裁は「いよいよ結党以来の党是である憲法改正に取り組むときが来た」と、憲法改正を目指す考えを強調しました。そして憲法9条に関し「自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打とうではないか」と力強く訴えた時には、会場が拍手に包まれる場面も。この宣言をもって、自民党は「自衛隊を明記する方向での憲法改正」に一層邁進することとなりそうです。

祭メモ4:安倍さんの演説は、とても情熱的。

 

まさかのダブルサプライズ、谷村新司さんの単独ライブ

安倍総裁の演説が終わり、もうおしまいかと思われた時に登場したのは、歌手の谷村新司さん。突然の登場に、会場にいるおじさまおばさま達は大盛り上がり。「昴」「群青」「いい日旅立ち」の3曲を熱唱し、会場を沸かせました。

ラストの「いい日旅立ち」では「みんなで歌いましょう」と谷村さんが呼びかけたものの、フェス慣れしていないおじさまおばさま達が逆に戸惑ってしまい、谷村さんがタジタジになる場面も。しかし、会場がノリノリになれるアーティストにサプライズライブをさせるなんて、めっちゃ楽しい政治イベントやん!と心から思います。私たちが「おじさまおばさま達」になる頃に呼ばれるのは誰なのでしょうか?

安倍総裁と握手をする谷村新司さん

祭メモ5:サプライズで超有名アーティストが!もちろんシニア向け!

 

本番はここから⁈動いたもん勝ちの懇親会

ここまでで党大会自体は終了ですが、この後に隣の会場で「懇親会」が行われました。

高級ホテルのランチビュッフェとともに行われるこのイベントは、人によっては「ここからが本番」。

なぜなら、この懇親会はテレビでしか見られない政治家さんとの立食パーティーなので、「犬も歩けば棒に当たる」ならぬ「懇親会で歩けば政治家に当たる」状態だからです。政治家と知りあいたかったり、自民党大会でのインスタ映えを狙うなら、これ以上のチャンスはありません。

写真は筆者と石破茂・衆議院議員。

「ヒゲの隊長」こと、佐藤正久・参議院議員。

 

このようなショットがたくさん撮れる、いわばボーナスステージです。

安倍総裁とのショットは30分以上の長蛇の列ができていましたが、参加者はみんな懇親会で政治家さんとお話ししたり写真を撮ったりすることを楽しんでいるようでした。

 

安倍総裁との撮影会は八人ごとに機械的にパシャパシャされていき、まるで安倍さんを囲む家族写真のような構図となりました。

ちなみ安倍さんは、この後すぐに会場を後にし銀座でオバマ元大統領と会食をされたとのこと。本当に総理大臣は、多忙なんですね。

また、ビュッフェには「沖縄料理」と「復興支援料理」のコーナーも。最高に美味しかったです。

祭メモ6:安倍さんに長蛇の列

 

総論:率直な感想は、おじさまおばさま達の文化祭!

総論、日本最大級の政治フェスティバル「自民党大会」は、さながらおじさま達の「文化祭」でした。もちろんこのイベントは、党員や議員向けのもの。筆者ら若者はそもそもターゲットではありません。故に20歳そこそこの私たちには味気なく感じることがあるのも至極当たり前のこと。加えて、アメリカとフランスの「パリピ」感のある演出は文化の違いも往往にしてあると思います。とはいえ、一若者としてはある種若者ノリを含めた「フェスティバル」に、若者も、おじさまおばさまも年齢を超えて楽しんでいた集会が、少し羨ましく思いました。

また一方で、党員や議員が参加するもの…といっても、例えば若い政治家が増えれば、当然演出も私たちに馴染みのあるものになるのかもしれない、とも筆者は考えます。
若者が政治から離れているのか、政治が若者から離れているのか。「ニワトリが先か卵が先か」ではありませんが、少しずつ若者に寄り添った演出を積み重ね、アメリカやフランスのように「どうやら、政治集会って面白いらしいぞ。なんか楽しそうだぞ。」なんて思ってもらえれば、若者はだんだん政治に寄ってくるのかもしれません。

もちろん今回の党大会でもそうでしたが、「楽しめる要素はありつつ、締めるところはキッチリ締める」ための工夫も欠かせませんが!

今年9月には、自民党総裁選も予定されています。
今度こそ、老若男女がターゲットの大イベントとなるはずの総裁選。
たくさんの年代の人が楽しめる集会が、そんなビッグイベントから始まれば、幅広い年代の人が政治に参加するいい「先行事例」になるかもしれませんね。

 

Witten by Kensho KUREMOTO / Kosuke FURUI
Video by Wataru TAKEDA

 

 

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