いま話題の裁量労働制、どういうこと?
メリットとデメリットをざっくり解説

安倍首相が今国会を”働き方改革国会”と位置づけ、積極的に取り組んできた働き方改革関連法案。

会期の迫る現在も継続して国会での審議が行われています。

今、”日本の働き方”が問われている中で、話題となった#裁量労働制 について分かりやすくまとめました!

裁量労働制=労働基準法の例外?

裁量労働制とは、ざっくり言うと「労働基準法の例外」の働き方を指しています。

従来の労働基準法では「1日8時間、一週間で40時間」と労働時間が規定されており、それを超える労働は禁止されています。

「裁量労働制」とは労働基準法で認められた制度で、実際の労働時間が何時間かにかかわらず、事前に定めた時間だけ働いたとみなす制度です。

これをみなし労働時間と言い、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えないように設定されます。出退勤時間の制限が無くなりますが、実労働時間に応じた残業代は発生しないことが大きな特徴です。

結果さえしっかり出せばいつどこで仕事ができることも大きな特徴です。自分のペースやライフスタイルに合わせて仕事ができ、会社ではなくカフェや自宅で仕事をしていても構いません。しかしこの部分は社風や業務によるため、説明会やOB訪問を通じてしっかりと確認する必要があります。

わかりやすく考えるため、裁量労働制をとる職種のAさんとBさんが同じ仕事をした時を考えてみましょう。

課された仕事は、商談に使うプレゼンのパワポを作成すること。内容も見栄えもクオリティの高いものが求められるため、この仕事の「みなし労働時間」は8時間に設定されました。

圧倒的成長を求めるAさんは、最強を目指しているので5時間でパワポを完成させました。労働時間はこの時点で3時間残っています。しかし裁量労働制の世界では、Aさんは「8時間分の工数のかかる仕事をした」ことになっているので、もう仕事はありません。Aさんのその余った3時間は、完全に自由の身。仕事を早々に切り上げて飲みに行くことも、家に帰って家族と過ごすことも、はたまた意識高く資格や語学の勉強をすることができます。

しかし、仕事はそううまくはいかないもの。Bさんはパワポ制作に10時間かかってしまいました。しかし裁量労働制の世界では、Bさんはあくまで「8時間分の工数のかかる仕事をした」だけなので、超過分の2時間の残業は無かったことにされます。この場合、一般的な労働基準法で定められた1日8時間を超過していても、8時間分の労働をしていたことになるため、それは労働基準法違反にはなりません。

つまり、はやく終わらせれば終わらせるほどお得(逆を言えば労働時間がズルズルと長引くほど損)なので、「効率的に働こう」という意識が高まります。個人の能力や生産性が労働時間や給料に響いてくるため、能力が高ければ高いほど働き易く、逆に能力が低ければ働きにくい雇用制度です。

これは、「仕事の評価は生み出した結果によって測られるべき」という考え方に基づいています。つまり、仕事に対する成果さえきちんと上げていれば、労働時間が短くても問題ありません。この部分で、今までの時間給(働いた実質時間によって定められる給料)とは違っています。今までの時間給では労働時間が給料を決める基準となっているので、同じ仕事をこなしたAさんとBさんでも、Aさんの給料は「5時間分」となり、Bさんの給料は「8時間分➕残業代2時間分」となります。

 

裁量労働制のメリット・デメリット

本来、高度プロフェッショナル制度は働き方を柔軟にし、労働者の能力の発揮と企業の競争力向上を期待されて法案が作成されました。

残業代ゼロ制度と呼ばれ批判が集まっていますが、現状運用に関しての修正が行われている段階であり、今後創設に向けて動き出す可能性は十分に考えられます。

今後高度プロフェッショナル制度が創設されると、以下に挙げるようなメリット・デメリットが考えられます。

メリット

労働生産性の向上

日本の企業の労働生産性の低さは常々指摘されてきており、行政を挙げて労働生産性を向上し、国際競争力を高めようという動きがあります。現状の国内企業の傾向として、残業をすれば成果に関係なく報酬が支払われるため、仕事が遅い人の方がより報酬が多いといった問題があります。しかし、高度プロフェッショナル制度においては、労働時間に報酬が左右されないため、効率よく短時間で成果をあげようとするモチベーションから、労働生産性の向上が期待できます。加えて、仕事が終わっていても退社することができない、といったような日本企業の悪い風習を断ち切る意味合いも含まれています。

ワークライフバランスの実現

企業人材の多様化の観点から、女性が働きやすい労働環境の整備に注目が集まっています。そんな中、高度プロフェッショナル制度においては、出社や退社の時間が自由に決められるため、育児や介護などと仕事の両立が可能となり、ワークライフバランスの実現が期待されます。ただし、柔軟な働き方が実現されるのは一部の理想的な場合に限るとも考えられ、以下のデメリットに挙げる残業の横行とも表裏一体であるのが実情です。

デメリット

業種によっては残業が横行する

企業が労働者に求める成果によっては、その達成のため自然にサービス残業が横行するリスクがあります。高度プロフェッショナル制度が残業代ゼロ制度と揶揄される原因ともなっており、今後この課題を解決するための更なる議論が望まれます。

成果の評価が難しい

報酬の対象を労働時間から業務の成果へ変更することを目指した制度ではありますが、「成果」に関しては統一した評価を行うことが難しく、結果として評価が適正に報酬に反映されない恐れがあります。例えば、新薬開発の研究者の場合、開発には時間がかかる上、成果として開発が成功するかも不確実です。このような場合に対応するため、業務のプロセスの適正な評価方法を作ることが必須となります

なぜ裁量労働制は人気がない?

裁量労働制の本来は、労働者が効率的に働き、正当に成果を評価される制度です。しかし、実労働時間に応じた残業が認められないことから、適用方法によっては猛烈に働くのに残業代が支払われない「ブラック長時間労働」になりかねないため、「定額働かせ放題」という批判もあがっています。

参考:https://roudou-pro.com/columns/32/

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